そして、そのすぐあとに、3月11日がやってきます。
この日付の並びに、どうしても大きな意味を感じてしまいます。
人によって、立ち止まった時間も、進んだ時間も、まったく違ってしまった日。
3・11以後、私たちはそれぞれに異なる時間を生きてきました。
いまも震災の時間を生きている人もいれば、
「もう過去の出来事だ」と記憶が薄れていく人もいる。
あの日を「昨日のこと」のように感じる人もいれば、「もう過去のことだ」と言われることに、言葉を失ってきた人もいる。
語り続けた人もいれば、語れなくなった人もいる。
『ホモ・ルーデンス-The Players-』は、
そんな「ずれてしまった時間」を生きる人たちの物語でもあります。
卒業後、夢に破れたり、生活に追われたりしながら、いつのまにか「演劇=遊び」から遠ざかってしまった人たち。
彼らは、震災の記憶が残る旧校舎にもう一度集い、「あのとき、やれなかった卒業公演」を、
今度こそ上演しようとします。
それは、何かを取り戻すためというより、
挫折や後悔も含めて、自分たちが生きてきた時間を、もう一度引き受け直す行為なのだと思います。
遊びとは、軽いものではありません。
ここで言う「遊び」とは、
人が仮の世界をつくり直し、もう一度生き方を試してみる行為のことです。
遊びとは、正解のない状況で、他者と向き合い、
傷つきながらも「それでも一緒にやってみる」ことです。
3・11後の世界で、
私たちは多くのものを失いました。
同時に、「何を信じて生きるのか」を問われ続けてきたのだと思います。
3月5日から8日まで、
その問いを、演劇というかたちで、
静かに、しかし確かに差し出します。
そして3月11日がやってきます。
もし可能であれば、
この二つの時間を、一本の線として受け取ってもらえたら嬉しいです。








演出家・劇作家・元高校教諭。福島県出身。







代表作に「エモーショナルレイバー」、「ホットパーティクル」、「指」、「みえない雲」など。また、2016年「彼らの敵」で読売演劇大賞優秀作品賞を受賞した他、読売演劇大賞優秀演出家賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞など数多くの賞を受賞。