青年劇場友の会



会員の声


 私と青年劇場との出会い

 思い返してみると青年劇場と出会ってからもう四半世紀が過ぎた。最初は「翼をください」(ジェームス三木作・演出)という作品がきっかけだった。熊本で私立高校の教員をしていた頃、1990年初演の記事をある教育雑誌のなかに見つけた。「これはうちの学校のことだ。ぜひ子どもたちに鑑賞させたい。」そう思った私は、さっそく電話をかけ、劇団に直談判した。学校間格差をテーマにしたこの作品は大きな反響を呼び、私の学校での上演後、熊本市内での実行委員会公演が行われた。作品は、学校や劇場という枠を超え、地域の教育運動とともに人々のあいだに広がっていった。

 演劇はたしかに劇場という限られた空間で上演されるものだ。しかし鑑賞後、その作品に心動かされた人々のコミュニケーションを通じて、劇場を超えた公共圏がつくり出される。「友の会」とは、たんに演劇を安価に観るための手段というよりも、劇団員、会員同士が劇団の作品や作品づくりについて語り合い学び合う公共圏ではないか。それは作品を私的に愉しむのではなく、公共的に愉しむ場といってもいい。そしてその公共圏がさらに広がることで、ひょっとすると人の心だけでなく、社会そのものを揺さぶることだってあるかもしれない。

木村 浩則(文京学院大学教授)