応援メッセージ ※順不同 敬称略


2017年に『わたしは、ダニエル・ブレイク』の映画を見ました。「私は、ダニエル・ブレイク。人間だ。犬ではない。当たり前の権利を要求する。」というダニエルが残したメモに感動しました。
日本でも社会保障が削減される一方で貧困と格差が広がっており、ダニエル・ブレイクの話は他人事ではありません。「人間の尊厳」を守り「社会の連帯」を育てる社会保障制度にしていかなければならないと強く思っています。

宇都宮健児(一般社団法人反貧困ネットワーク理事長 弁護士)


映画は以前に拝見しまして、多くの方に観ていただきたい映画だなと思っておりました。
今回は、演劇でということで、どのような作品になっているのか、とても楽しみです。

大西連(認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい)


数年前に公開された時に見ました。この作品は、豊かなはずのイギリス社会で取り残されたシングルマザーのケイティと子どもたちを、妻を亡くした元大工のダニエルが助ける話だが、実はその交流の中で、互いに、生きる希望を育んでいく。私たちも今、貧困などで孤立して生きる子どもや若者、家族を支える活動をしているが、実は、私たちの方が人間らしく生きる機会を与えてもらっている。このドラマが、青年劇場によってどのように甦るか、楽しみです。

青砥恭(認定NPO法人さいたまユースサポートネット)


ぼくが敬愛してやまない、イギリスのケン・ローチ監督の代表的な作品が、青年劇場によって舞台化されることを知り「すごい!」と思わず声が出そうになった。
そっくりそのまま日本を舞台にしても充分成り立つ感動的な物語である。素晴らしい成果を心から期待してやみません。

山田洋次(映画監督)


私たちミニシアターで働く人にとってケン・ローチ監督はとても大切な存在です。一本のまっすぐな線を描くような映画をいつも届けてくれます。ときには映画のエンディングが社会の現実をうつすように厳しいものもありますが、すべての映画を観終わるとき、なにか心が揺さぶられるのです。本当です。舞台になる「わたしは、ダニエル・ブレイク」でケン・ローチ監督の真剣に働くひとに対するやさしいまなざしがどのように表現されるのか、興味津々です。

北條誠人(ユーロスペース支配人)


人はひとりでは生きていけないが、この社会は、お前はひとりで生きていけ、と迫ってくる。私たちには力があるはずなのに、声を上げても無駄だと、権力者が囁く。ケン・ローチの映画は怒っている。社会をバラバラにする政治と経済に。ケン・ローチの映画は寄り添う。手を取り合い連帯する人々に。表現という、新しい闘争の可能性が、ここにある。

西原孝至(映画監督)


一時期あれほど高まった格差社会への批判が、最近はほとんど聞かれなくなった。問題は解決しましたので、という話なら結構だけれど、まったく違う。階層間の格差は固定化され、なおも拡大の一途を辿り続けていくばかりだ。
ただ、人々の意識が変わってきた、ように思われる。すべてを?自己責任”に帰せてしまう新自由主義イデオロギーの下で、格差社会こそ当たり前の世の中だと受け止める考え方が、いつの間にか主流になり始めているのではないか。悲しい。いても立ってもいられない。
そんな折も折、あの『わたしは、ダニエル・ブレイク』が舞台化されるという。ありがたい。ぜひ観劇させていただき、これからの社会と自分自身の生き方を見つめ直す機会にしたいと、私は考えている。

斎藤貴男(ジャーナリスト)