2005年3月に産声をあげた「3150万秒と、少し」の4回目の旅公演が、5月17日静岡県藤枝市での藤枝三校合同演劇教室で幕を開けました。過去2年間で102ステージを刻み、103回目からのスタートです。
10数年前でしたら、100回という数字は1年間で達成出来ていたものですが、学校公演を取り巻く環境が悪化の一途をたどる中(週休二日制による行事の見直し、少子化等による予算の削減等)、ヒットしていると言って良い数字です。その要因としては、上演料対策としての小班編成へのチャレンジが功を奏していること、そしてそれ以上にこの作品を高校生達が本当に良く観てくれていることです。
高校生達は自然にこの「3150万秒と、少し」の世界に入って来てくれます。これは初旅以来驚くほどです。毎回、新鮮な出会いがあります。先日も、少し"やんちゃな"子が多そうなのでやる前は少々心配した時がありましたが、幕が開くとその生徒さん達は、二人の主人公の傷付いた心に寄り添い、大人が感じる以上のものを感じながら集中して観てくれました。劇の最後、主人公二人を囲んで全員が出る数分間の無言のシーンがありますが、その時の生徒さん達の何とも言えない"優しい"眼差しにこちらが感動させてもらいました。この仕事を選んで良かったと思える瞬間です。
「3150万秒と、少し」班は若い班です。観てくれた高校生達から多くのことを学び、経験も積み、出来るだけ良いものを観てもらう為に今回もたくさんの稽古をしています。初演より大いに進化し深化していると思います。芝居は生き物です。いつかまた、成長した姿を皆様に観て頂ける機会があれば幸いです。