秋田雨雀・土方与志記念青年劇場創立45周年/土方与志没後50年 特別企画

「先駆けるもの―秋田雨雀 人と作品(構成=福山啓子 演出=堀口始)
「三年寝太郎」作=木下順二 演出=津上忠(土方与志演出による)

大入で公演終了!



 
「三年寝太郎」 左より 吉村直 小竹伊津子           「先駆けるもの」 左・葛西和雄

 昨年、創立45周年を迎えた青年劇場では、年間を通じて全ての公演を記念公演と位置づけて活動をしてきました。その最後を飾る公演として、秋田雨雀と土方与志、両先生に関連した二本立ての特別企画を2月12日〜23日、スタジオ結で上演し、全ステージをほぼ満席で終えることできました。今回の企画は、劇団名に冠しているお二人の、演劇芸術にかけた思い―その生涯と作品を通して社会の矛盾や問題を投げかけ続けた―を、改めてふり返り、その遺志を今後の劇団活動につなげていきたいというものでした。そのことをたくさんのお客様と共有できたことは嬉しく、また一層の励みにもなりました。この企画にあたっては、「三年寝太郎」の演出をしていただいた劇団前進座の津上忠さん、音楽の杵屋佐之忠さん、振付の藤間多寿史さんに大変お世話になりました。特に津上さん、杵屋さんのお二人は土方先生が演出をされた時の上演に関わっていらっしゃったこともあり、土方演出について貴重なお話をお聞きすることができ、稽古場に弾みがつきました。

 またそれに先立ち、1月28日にはプレ企画として、秋田・土方両先生を語る集いを開きました。津上忠さんはもちろん、秋田先生の推薦で演劇界に入られたという文学座の演出家・戌井市郎さん、15歳から土方先生に可愛がっていただいたという前進座の女優・いまむらいづみさんにご登壇いただき、青年劇場の草創期を支えた瓜生正美、小竹伊津子、後藤陽吉がそこに加わりました。戦中の言論弾圧をくぐり抜け、戦後何もない時代に演劇人たちが団結しながら社会に向けて発してきた熱い思い、そのエネルギーを感じることで、改めて私たちが受け継いでいくべきものに気づかされた時間でした。

 そして、両先生が晩年に若い世代の育成の場として力を注いだ舞台芸術学院から協賛をいただき、資料の提供など多大なご協力もいただきました。また演劇評論家の菅井幸雄先生のお力添えにより木下順二先生ゆかりの地、静岡県伊豆市・天城劇場ホールにて「三年寝太郎」を上演することができました。

 創立して45年、これまで青年劇場を支えてくださった多くの演劇関係者、そしてお客様によって実現・成功した企画であったと思います。改めてここに深く感謝申し上げ、未来に向けて心を励まし合える舞台づくりを行ってまいりたいと思います。本当にありがとうございました。

 
1月28日プレ企画
第1部 左より 福山啓子 戌井市郎 小竹伊津子 後藤陽吉      第2部 左より葛西和雄 吉村直 津上忠 いまむらいづみ 瓜生正美

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