初旅!「シャッター通り商店街」
吉村直(俳優)

 一昨日から新生「シャッター通り商店街」の稽古が始まりました!初演は2007年9月でしたから、約3年ぶりとなりますか。私の役は、喫茶店「すずらん」の長男坊。地元花里市の有能な役人で、アマチュア劇団を主宰し、稽古に入るとその役に没入して日常会話にまで引きずるという役どころ。(今回は「ハムレット」に挑戦します!)

 さて、「シャッター通り商店街」、なんともローカルそうなタイトルでありますが、何故この舞台を立ち上げたかといいますと、わたくしのセリフにこんなものがあります。(「ハムレット」調にどうぞ)「2006年6月に施行された大規模店舗立地法で、郊外店の大型化が進み日本各地の町の中心部がシャッター通りと成り果ててしまった。さすがに慌てた自民党政府は2006年5月、改正まちづくり三法を成立させ大型店舗の立地に歯止めをかけようとするも焼け石に水、(略)追い打ちをかけるように地方交付税が廃止され都会と地方の差は拡大し、今やいずこの地方都市も財政の破綻寸前であえいでいる。これを政治の責任と言わずしてなんであろうか!」全国的にこのような厳しい状況の中で、頑張っている商店街にエールを贈りたいと思いを込めた舞台だったのですが、残念ながらシャッター通り化は今も進行しております。しかし、事は商店街だけの問題ではなく、街づくり、地域づくり、人づくり、ひいては国づくりまで包括する問題なのだという事をあらためて肝に銘じているところであります。


左から
筆者 高安美子 寺本佳世 青木力弥 藤木久美子
撮影:蔵原輝人

 大幅な改訂を経た今回の再演は、言うなればリベンジマッチ。この機会を与えてくださった、近畿地区、北海道地区の演劇鑑賞団体の皆さま、ありがとうございます!鑑賞会も、この長引く不況も影響してか会員数も減少し、苦労をされていますが、人間的な豊かさを求め、良い演劇を広めるために頑張っておられます。私たちは舞台でその思いに報いるべく、日々稽古に励んでおります。

 ところで今回の改訂で新たな登場人物が加わりました。地元の信用金庫の女性職員で、苗字は小鳥遊さん。(※さて、何と読むのでしょう?)信金の登場で、花里市「すずらん通り商店街」にも新しい展開が。個性あふれる登場人物が織り成す社会派人情喜劇、さて、いかなる結末になります事やら、ご期待あれ!!

(2010年5月26日稽古場にて)

※小鳥遊は「たかなし」と読むんです。読めましたか?