4月 第101回公演
「太陽と月」作・演出=ジェームス三木
ご来場ありがとうございました。


 4月12日〜25日、紀伊國屋ホールで上演、4000名を超えるお客様を迎え、無事幕を下ろすことができました。「旧満州国」を舞台に、満鉄理事の一家を突如襲った悲劇によって、傀儡国家と言われた満州国の実態、日本の様々な野望が暴かれていく様を描き、多くの反響が寄せられました。「旧満州国」に生まれ育った作・演出のジェームス三木氏が長年温めてきたテーマであり、「族譜」(2006年初演)に引き続き、「国家とはなにか」を問いかける作品となりました。過去の歴史に向き合い、そこに生きた人間を描くことで、現在に生きる私たちがあらためて国のありようを考え合う作品として、時宜にかなった公演になったのではないかと思っています。ご来場くださった皆様、本当にありがとうございました。



左より 中山万紀 清原達之 藤井美恵子 青木力弥
アンケートより

 久しぶりに胸が熱くなり、涙を禁じ得ず、少し恥かしい位でした。先日逝去された井上ひさし氏が「いつまでも過去を軽んじていると、やがて私たちは未来から軽んじられることになるだろう。」と書いておられましたが、真にそのとおりだと観ていて思いました。物事の表と裏、いつも両面からしっかり目をひらいて見ていかなければとの思いを強く強く感じました。
(勝本千穂子 60代)

日本の教育に洗脳された人々と真実を見た早苗さんの対話が、心を揺さぶられた気がした。自分の目で真実を確かめなくてはいけないなと思った。
(宮内華子 10代)

何事も自分が(自分のまわりの環境が)正しいと思い込んで、他を知ろうとしない、受け入れようとしない事が多々あると思います。けれども角度をかえて物事を見ることの大切さを教えていただきました。
(大野美香 30代)


左より 江原朱美 尾花志寿 八代名菜子 岡本有紀 相楽満子
撮影:宮内勝

満州国という国家の虚構性を、これほど正面から直裁に描いた芝居はそうなかったのではないか。日本全体がいわば日本の国家と関東軍によって「洗脳」状態にあった時、家族の中で唯一早苗だけが、見事に覚めた眼を持つことができたのは、抗日の戦士たちとの二年半余の生活故だった事を思うと、大勢の「世論」やマスメディアの論調に、いともたやすく汚染されてしまう人々の“狂気”の恐ろしさを思う。
(大類善啓 60代)


ページトップへ