青年劇場通信

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消費税増税がもたらすもの

 去る6月26日に衆議院本会議で「消費税増税法案」が可決、通過し、参議院での審議に付託されることになりました。この消費税増税については、「国民と舞台芸術を遠ざけるもの」と、舞台芸術関係者、あるいは鑑賞団体からの抗議や反対声明などが出されています。その一つとして、芸術文化振興連絡会議(通称PAN)常任委員会の声明を掲載させていただきました。

 この芸術文化振興連絡会は、1974年に入場税撤廃をめざして結成された舞台入場税対策連絡会議を前身とするもので、芸団協を始めとする実演芸術団体に加えて、演劇鑑賞会、労音、子どもおやこ劇場などの鑑賞団体が参加しているところに大きな特徴があります。入場税撤廃を勝ち取った後には、売上税反対などの運動展開を行ってきましたが、90年前後からはNPO法の成立や文化予算増額の運動、そして文化芸術基本法の成立に向けた活動が中心軸となっています。

 今回の消費税増税については、常任委員会でも二度三度と論議し、また学習会も開催してきました。というのも、この間の不況、自然災害などによって、多くの芸術団体や鑑賞団体が厳しい状況に置かれていることもあり、「消費税だけをことさら取り上げるのはどうか」「文化予算増額と消費税増額との関係は?」「国の財政を再建するためには仕方がないのでは?」など、敢えて私たちが何らかの見解を提起することへの戸惑いがあったからです。

 しかし、基本的に消費税の増税は芸術鑑賞に壁を作るものであり、また消費税を入場料や学校などの上演料に転嫁しにくい状況を見れば、芸術文化団体や鑑賞団体の財政を直撃し、危機に追い込むものであることを、多くの人々に伝える必要があるとの一致点から「声明」という形で提起することになりました。論議の中で、消費税増税が景気をさらに冷え込ませるという認識や、はたして財政再建につながるのかという疑問が強くなったこともあります。文化芸術を守るためにも、この消費税増税がもたらすものについて、ぜひ論議を広げていきたいと思います。

福島明夫(芸術文化振興連絡会 代表運営委員)


「芸術文化団体の活動を困難にし
国民の芸術鑑賞機会を狭める
消費税増税に反対します」

 消費税率の大幅な引き上げを柱とした「社会保障と税の一体改革関連法案」の国会審議が開始されました。

 私たち芸術文化振興連絡会(略称PAN)は、戦後直ぐに始まった“戦費調達のための入場税”撤廃運動のなかで発足した「舞台入場税対策連絡会議(入対連)」を前身として、その運動の歴史を踏まえ、芸術創造団体と市民文化団体が力を合せて、芸術文化の振興を図るため、国や地方自治体における芸術文化振興施策の拡充に向けて活動してきました。

 具体的には、税制優遇措置の実現、芸術文化団体のもつ非営利性や公益性を明らかにした法人制度づくり、文化芸術に関する基本法の実現等に向けた運動に取り組み、それぞれの課題の実現において一定の役割を果たしてきました。

 そして、今日では、舞台芸術・芸能の根源であるライブの持つ力に注目して、それがより多くの人々にとって人生の励ましや糧として受け止められ、創造する側と鑑賞する側の両者が互いに尊敬の念をもって出会えるような環境づくりを目指すことを課題にしています。

 しかし、物理的条件に制約される舞台芸術・芸能のライブ活動の実態は、多くの場合、創造する側にとっては採算を得ることが難しく、鑑賞する側にとっては高額な対価を支払う必要があるものとなっています。

 現在の日本は、長引くデフレ不況に加え、東日本大震災やそれに起因する福島第一原子力発電所の事故の影響もあって、大多数の国民の暮らしはますます厳しいものとなり、生活費の更なる切り詰めを余儀なくされています。その結果、国民の多くがライブでの舞台芸術・芸能鑑賞の機会から遠ざけられる状況が生まれています。また、現状でもコストに十分見合う入場料が設定できない多くの舞台芸術・芸能団体にとって消費税課税は大きな負担となっています。

 今この時期に消費税を大幅に引き上げることは、さらに多くの国民から舞台芸術・芸能鑑賞の機会を奪うことにほかならず、芸術文化の振興においても大きな妨げになります。

 よって、私たちは、消費税の税率引き上げに反対し、消費税の増税によらない「改革」の実現を求めます。

   2012年6月1日

芸術文化振興連絡会(PAN)常任委員会



1996年「消費税の税率アップに
反対する演劇人の会」が作成した
シンボルマーク

消費税増税は、学校公演の実施もますます厳
しくさせます。 (写真は終演後の座談会風景)