青年劇場通信

2号 新春てい談 「臨界幻想
2011」
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演劇の力でできること―演劇ワークショップ―

 劇団はかねてから、全国各地の学校、市民会館の文化事業など地域からの要請にお応えし、学校での演劇づくりの基本を指導したり、地域での演劇活動・発表のお手伝いを行ってきました。また、不定期ですが、劇団が主催する演劇や朗読のワークショップも行われています。昨年は、劇団員から募金を募り、東日本大震災の被災地である大船渡市立第一中学校、気仙沼向陽高校をれぞれひと学年でのワークショップに講師を派遣し、演劇を通しての被災地支援活動を行う事が出来ました。これからも、こうした要望や企画に積極的に取り組んでいきたいと考えています。
 昨年10月に桐朋高校(東京都)で行った、「学年の日」演劇体験教室の取り組みを担当の森先生に寄稿していただきました。

桐朋高校一年生 演劇体験教室記

桐朋中学・高等学校 社会科教諭 森 優樹

 「マジで言ってんの」「うわっ、めんどくさい」。男子校である私の勤務校のホームルームにおけるひとコマである。学校行事「学年の日」において演劇体験教室をやると言ったことが原因だった。「学年の日」とは高校一年を担当する教員陣がテーマを決め、学年の生徒全員に共通の体験をさせるものである。私の勤務校である桐朋高校では例年「芸術鑑賞会」を実施しており、今年度の内容は「演劇」で青年劇場の皆さんが演じる『キュリー×キュリー』を鑑賞した。生徒は「男子校にありがちな明るい反応」を示し芸術鑑賞会は幕を閉じた。その反応が良かったこともあり、「学年の日」についても青年劇場の白木さんと佐藤さんにご相談したのが演劇体験教室の始まりであった。


生徒たちによる発表の様子

 10月半ばの学年の日に向けて、準備は9月の後半から始めた。生徒に行事概要を伝え、青年劇場の板倉さんからいただいた演劇の作り方のプリントを配り、各クラスで台本・監督・役者・大道具・小道具・照明・音響といった役割分担をさせた。板倉さんからは作りやすくなるよう課題曲もいただいたが、生徒が台本を書くと、こだわりが強くなり「音楽も自分たちで決めたい!」という意思が出てくることになった。また、大道具や衣裳について「予算が欲しい!」という要望も出てくる。各クラスで中心となる生徒が自然に出てきて、その生徒がリーダーシップを発揮し準備を進めていった。特に直前一週間は、休み時間に大道具を作る、放課後に練習する、教科担当者と担任に依頼しホームルームを前借りする、といった、高校一年生だけが文化祭直前のような雰囲気であった。それでも生徒たちは「時間がない」「ヤバイ」とつぶやきながら当日を迎えた。

 当日は学年全体で、演劇に用いられるようなエクササイズを教えていただいた後、各クラスに分かれて午後の全体での発表会に向けて練習した。各クラスにそれぞれ青年劇場の指導者の方がついて下さりご指導いただいた。プロの目からご意見をいただく中で、生徒は多くの刺激を受けて劇に肉付けしていった。私の担当しているクラスも、前日までとは比較にならない完成度になり午後を迎えた。午後の発表会では各クラスのエネルギー溢れる演劇が披露され、大盛況の中で幕を閉じた。

 今回の行事で「自主性」「こだわり」「全員で作り上げる達成感」「伝えるための方法」といったものを多くの生徒が感じたようである。終了後の終学活での生徒の表情は清清しさにあふれていた。行事を企画した私が多くの準備時間を用意できなかったことが最大の反省である。にぎやかな男子高校生でも優しくご指導いただいた青年劇場の皆様に感謝している。



2012年8月〜2013年3月の講師派遣
2012年8月1日 足利市内高校演劇部講習会 佐藤尚子 相楽満子 星野勇二
8月10日 秦野市内中学高校演劇部講習会 船津基 藤代梓
9月5日・6日 立川高校クラス演劇発表会 秋山亜紀子
10月18日 桐朋高校演劇体験教室 佐藤尚子 島野仲代 板倉哲 名川伸子 奥原義之 北直樹 秋山亜紀子 相楽満子 真喜志康壮 大月ひろ美 矢野貴大 協力:劇団舞台部
2013年1月26日 足利南高校演劇講座終了公演 上演指導:島野仲代 相楽満子 協力:劇団舞台部
2月16日・17日 足利市民プラザシニア劇団燦(SAN)旗揚げ公演「帰心〜行く道、寄り道、帰る道〜」高橋正圀=作 加納朋之(文学座)=演出 コーディネーター:佐藤尚子 協力:劇団舞台部
3月22日・23日 和歌山市民会館 演劇大学発表 コーディネーター:佐藤尚子 協力:劇団舞台部