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早いもので3.11から一年を迎えようとしています。しかし被災地の復興は進まず、原発事故、放射能被害も収束から程遠い状況にあります。加えて、今年は各地から豪雪の被害が伝えられるなど、私たちにとっての厳しい冬はまだまだ続きそうです。
<劇団は今>
青年劇場もこの厳しい難局をどう乗り越えるかという課題に向かって、二月四日、五日の両日にわたって第31回定期総会を開催しました。昨年は、三月公演「青ひげ先生の聴診器」が大震災に見舞われ、また九月公演「普天間」も台風の直撃を受けるなど、ご覧頂く機会を失った公演が相次ぎました。ただ、その厳しい状況の中でも各地の皆様のお力添えで、様々な形で公演活動を行ってきました。「修学旅行」「キュリー×キュリー」「族譜」「結の風らぷそでぃ」「シャッター通り商店街」と、お世話いただいた方々には心から感謝申し上げたいと存じます。その中で、「舞台との出会いが大きな励ましとなった」「もっと多くの人々に届けたい」という感想が多く寄せられ、私たちに大きな励ましを与えてくれています。
経済的な厳しさが演劇との出会いを少なくさせることは確かですが、その厳しさを乗り越えるための意欲や夢をどう作り上げられるのか、そのことが大切です。人との関わりこそが演劇の原点なのです。
<人の絆を信じて>
昨年来、被災地におけるボランティア活動や子どもたちを放射能被害から守る運動、さらに脱原発に向けた運動など、人と人との連帯、絆が作り出すものの豊かさを感じさせていただいています。同時に、この社会を動かしているカラクリの本質も少しずつ見えてきているようです。昨年の「普天間」公演は、宜野湾の人々が基地被害とどう向き合って来たのかを多くの人々と共有する機会となりました。今年も「野球部員、舞台に立つ!」「臨界幻想2011」を皮切りに、現代に生きる人々に向けた力強いメッセージとなるような舞台を送り続けたいと思っています。
とはいえ、劇団を取り囲む環境の厳しさに変わりはなく、青年劇場の劇団員だけで突破できるものでもありません。特に、国家財政の危機が喧伝される中で、消費税増税が具体的に提起され、芸術団体に対する文化予算も削減されるなど、劇団活動と劇団員の生活に襲い掛かっている事態は過去に経験のないものです。これらの事柄については、他劇団や芸術文化団体と力を合わせて、世論や政府へ働きかけていきますが、同時に、引き続き皆様のお力添えもお願いしなければならないと思っています。
<皆様にお願いしたいこと>
今年劇団は、@「キュリー×キュリー」など三本の作品を全国の青少年に届けること、A社会派創作劇の劇団として「臨界幻想2011」などの定例公演に加え、「普天間」の関東、近畿、沖縄での実行委員会公演を行うこと、Bスタジオ結を活用して、「明日、咲くサクラ」(仮題)公演を行うとともに、東北被災地支援のプログラム、ワークショップなどの製作を行うことを計画していますが、これらの劇団活動へのご協力とご支援をお願いしたいということです。
こういったお願いを申し上げる以上、私たち自身の研鑽をさらに深め、魅力ある俳優、演劇人となって、皆様のご期待に応えていかなければなりません。また、青年劇場は二〇一四年に創立五十周年を迎えます。そこに向かって、二十代から八十代までの劇団員の総力を挙げて、今、求められる舞台の創造と普及に力を尽くして行きます。
皆様のご理解とお力添えを心よりお願い申し上げます。