2017年6月22日から青年劇場は、さいたま市若者自立支援ルームに講師を派遣して演劇ワークショップを2週間に1回のペースで開催しました。ルームのスタッフや参加メンバーの皆さんから大好評、参加者の意欲はどんどん高まり、12月27日に支援ルームのクリスマス会で30分の作品を上演しました。手作りの衣装を着け音響効果も加え、特設照明も入るという贅沢な発表は大成功を収めました。
事の始まりは文化庁「戦略的文化創造推進事業」の「演劇による社会的包摂プロジェクト」に青年劇場が応募したことです。「社会的包摂」とは関係者の方の説明によれば、不登校や無就労の若者が学ぶ場や働ける場を見つけて社会参加するようになることも一つの例だとか。当プロジェクトは「演劇が社会的包摂に有効である」と証明することも目標の一つです。そんな経緯でさいたま市若者自立支援ルームに通わせて頂くことになりました。講師は佐藤尚子、白木匡子、島野仲代、枯木彩那、そして板倉です。
支援ルームは不登校や無就業の若者が集まり、ランチ(200円)を利用したり学びなおしなどをする場所です。利用者の中には複雑な事情を抱えていて自己肯定感に乏しい子や傷付きやすい子もいると聞き、ワークショップは手探りで始めました。最初の1~2か月はシアターゲームで緊張をほぐしたり、コントを演じたり詩を朗読したり。参加者は徐々に積極的になり観客の前で演じたいと考えるようになりました。出演者の個性や条件に合わせて私があて書きして台本を作りましたが、配役全員が揃っての稽古は皆無。毎回講師やルームのスタッフの方が代役をしての稽古でした。しかし本番当日の彼らは私たちの心配を吹き飛ばすように元気一杯!アドリブも続出する楽しい舞台になり、来賓の市長・市会議員・国会議員の皆さんからも絶賛される出来になりました。
クリスマス会の様子
社会包摂にどう貢献するかを証明するのはまだまだ難しい宿題です。私は参加者が変化する様に感動を禁じ得ませんでした。演劇にはやはり人間を幸せにする力があると再認識させられました。